土について

1.鹿沼土    2.赤玉土   3.その他の土   4.混ぜてみよう!

 

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1.鹿沼土

栃木県の鹿沼市は知らなくても、鹿沼土という名は聞いたことがある人も多いと思います。鹿沼市はサツキ盆栽が盛んですが、そのサツキと相性が良い土として、鹿沼土は無くてはならない存在といえます。

 鹿沼土は、土というよりも「軽石」の仲間に分類されます。今から約4.5万年ほど昔に群馬県の赤城山が噴火した際に噴出した火山性軽石が堆積し年月とともに風化されてできました。噴火の際は上空を流れる偏西風によって噴出物が飛ばされたので、かなり広い範囲にこの土が分布しているのですが、土の量的に鹿沼を中心とした一帯に一番厚く積もっています。

(※学説に変更が生じたことにより、年代を3.2万年前→4.5万年前へ訂正しました。2014 4月現在)

 数万年という歴史のある鹿沼土なのですが、広く使われるようになったのは、サツキのブームが関係しています。そもそも鹿沼土がサツキに最適な土であることは大正末期に著名な盆栽家によって広められたとのことで、その後の昭和40年代のサツキブームにより鹿沼土の需要も一気に拡大していったという背景があるそうです。

鹿沼土がサツキにとって相性が良い理由について、サツキは水分と空気を好む特性があり、ツツジ科の植物の特徴として酸性土を好むという部分から鹿沼土の持つ保水性、通気性、酸性の特性がマッチしていることが挙げられます。

鹿沼土は粒の中に細かい孔隙が多くあるので、空気や水の流出入に優れており、特に水を保つ能力という点では他の軽石よりもはるかに高いという点が特徴的です。

 

水はけが良くて且つ、水を保つ力も持っているという鹿沼土の弱点といえば酸性でアルミナ分が多く、保肥力が劣るという部分ですが、長所を生かした使い道としてサツキ、盆栽に留まらず草花、山野草、サボテン、挿し木、等々非常に多岐に渡っております。

 

 さて、そんな鹿沼土は一体どのようにつくられているのか?自社採掘を行う弊社ならではということで、一般的にはなかなか見る機会が無いと思われる、採掘現場の様子を以下に紹介させて頂きます。


 

 

 

 採掘はショベルカーを用いて、数メートルの深さまで掘り進めておこないます。

 その他、トラクターやブルドーザーといった大型機械も用いて大規模に行います。

表土を取り除いたところです。関東ローム層の表層土であるこの黒い土はその名のとおり「黒土」として販売されています。
   
 表土の黒土の下に、赤土(赤玉土の基)、さらに下に鹿沼土の層があります。かなりきれいに層状になっていますが、層の厚さや取れる土の質は地域によってバラバラなので採掘前の調査が重要です。  これは鹿沼土の層を近くで撮影した様子です。実は鹿沼土は最初から「粒」の状態で採掘されます。粒の大きさも大小ありますが、人為的につくっているものではないので量的に大小で違いが出ます。大粒の方が希少です。
   
 鹿沼土の層から取り出した塊です。粒同士がくっついているので、これをほぐせばおなじみの鹿沼土となります。  鹿沼土の特長をおおまかに数値化したグラフです。保肥力以外の物理性に優れている土です。
 
※参考値

「鹿沼土のランクについて」

 

鹿沼土は採掘地域、深度、あるいは採掘後の乾燥方法によっても硬度等の質が変わります。弊社では幅広い質の鹿沼土がご用意できます。

 

1.超硬質品 

2.機械乾燥品(硬質)

3.硬質品(天然乾燥)

4.通常品(天然乾燥)

 

 

※粒径について

ふるいわけによって粒の大きさをわけて製造している鹿沼土の粒径は次のとおりです。

 

大粒:(約)15~20mm

中粒:(約)5~15mm

小粒:(約)2~5mm

微粒:(約)2mm以下

 鹿沼土を分析すると成分としてはケイ酸とアルミが豊富で、他に鉄、マグネシウム、カルシウム、マンガン等が含まれていることがわかります。

 構造的には風化してスポンジのような特性を持っているので水と空気を保ちやすいという長所があります。

 

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2.赤玉土

園芸用土の中で最もポピュラーで、最も使い勝手の良い土として有名なのが赤玉土です。赤玉土は赤土を乾燥させて、ふるいわけることで粒の大きさを揃え使いやすくしたものです。

 

 火山灰土である赤土自体はかなり広い地域で見られる土だと思いますが、栃木県内は赤土の埋蔵量も多く、中でも鹿沼土の埋蔵量も豊富な鹿沼市が、同時的に赤玉土の一大生産地としても有名です。数十年前と違って現在は、鹿沼土よりも赤玉土の方が需要が多い状態となっております。

 

 元々、粘質土の赤土を粒状の使い易い形にして園芸に最適な赤玉土として販売するようになったのは弊社が最初ですが、開始当初から弊社では赤玉土の質にも強いこだわりを持っております。

 まず、質を左右するのは「硬さ」ですが、これは採掘する地層によっても異なるため、弊社では採掘場所も事前調査を綿密に行うことで良質な原料の確保に努めております。

 

 また、それだけでなく、実は採掘後の乾燥処理の仕方によっても質が大きく変わり、製造の初期段階に良く乾燥処理されたものほど、粒が硬く崩れにくくなるということが研究によって明らかにされておりまして、乾燥方法についても弊社独自の機械式高温熱風乾燥処理を取り入れている点で、天日干しで乾燥をしている他のメーカーとは一線を画しております。

 

 赤玉土は通気性、排水性、保水性、保肥力のバランスに優れているため、弊社の主力培養土にとって、まさに無くてはならない原料です。短所を挙げるとすると、火山灰土に特有のりん酸を吸着する性質があるので培養土の原料に使う際にはりん酸を効きやすくするための工夫をするようにしています。

 

   

 鹿沼土同様に大型機械を用いて採掘をします。赤土の層は表土の黒土層の下、鹿沼土層の上に存在しており、黒土と鹿沼土にサンドイッチされるように分布しています。

 

 きれいに色が分かれているのでわかりやすいですが、黒土の下層に褐色の赤土の層が見えます。
 
※参考値

 赤玉土の特徴をおおまかに数値化したグラフです。通気性、保水性、排水性、保肥力のバランスの良さが赤玉土の長所となっています。

 

赤玉土を分析すると、ケイ酸、アルミ、鉄が豊富なことがわかります。赤玉土の色は含有する鉄分に由来した褐色をしています。構造的には、細かい粒がくっついて大きな粒を形作っており、「団粒構造」を持っている土としても有名です。

 

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3.その他の土

 赤玉土、鹿沼土以外にも様々な園芸用土があります。それぞれ、単用土と呼ばれて売り場に並んでいるものや、あるいは売り場に並んではいないものの培養土の原料として用いられるものもあります。

 培養土の製造メーカーとして弊社では、自社採掘の赤玉土や鹿沼土を主原料として、これらの各種用土をブレンドすることで様々な種類の植物に対応した培養土を製造しています。実は、巷で数多く売られている園芸用土、培養土ですが、その中で原料の採掘からブレンドにいたるまで自社で行っている純粋なメーカーって、全国的には意外と少ないのです。

 弊社では自社工場による一貫製造を行っておりますが、自分でつくるものに対して目を届かせられるということが、品質の安定した安心できる培養土のための根幹となるのではないかと考えております。

 

 さて、ここでは、そんな各種の用土について説明していきたいと思います。用土にはそれぞれ個性があります。この個性を理解しておけば、例えば自分で土を混ぜ合わせて状況に応じたオリジナル培養土をつくるときなどに役立つことでしょう。

 

 

「土の性質と植物」

 性質  用土  重視する植物

 通気性

酸素を十分に供給できる力があるかどうか。

土の隙間が多いと酸素を蓄える力も高い。通気性が悪いと根張りも悪く、酸素が不足すると根腐れが起こる原因となる。

 

ふかふかした土や粒がしっかりした隙間がある土ほど通気性が良い。

 ・軽石

・パーライト

・くん炭

・バーミキュライト

・鹿沼土

・赤玉土

 ハーブ、観葉植物、クリスマスローズ、多肉植物等

 保水性

ずばり、水を保つ力。植物に必要な水分を十分に蓄えられるかどうかは重要。

 

砂や石は低く、有機質や粘土は高い。

 

 ・黒土

・ピートモス

・バーミキュライト

・腐葉土

 野菜類、花木、草本草花等

 排水性

水がすんなり抜けるかどうか。水にも酸素が含まれるので水が停滞せずに抜けることで空気の入れ替えにも関係してくる。

 

砂や石で排水性が高い。

 ・軽石

・パーライト

・鹿沼土

・赤玉土

 サボテン、多肉植物、観葉植物、洋らん等

 保肥力

与えた肥料を土が保持する力。これが無いと水で肥料分が流れやすくなり、植物生育が悪くなる。

 

粘土や有機質で高く、砂や石は低い(ゼオライトは例外)

 ・黒土

・バーミキュライト

・腐葉土

・ピートモス

・くん炭

 野菜類

 酸性

多くの植物は弱酸性で育つが、それよりもpHが低い状態の土

 ・ピートモス

・黒土

・鹿沼土

 ブルーベリー、サツキ、ツツジ、ツバキ、ベゴニア、

ジャガイモ、スイカ等

 アルカリ性

pHが中性よりも高い土

 ・くん炭

・バーミキュライト

 ラベンダー、ローズマリー、マリーゴールド、

コスモス、クリスマスローズ、マメ科、オリーブ等

 

 ↑ 土の性質の中で重要なのは「通気性」、次が「排水性」です。通気性は根の生育に大きく影響します。排水性は過湿を防ぐために大切です。これらが劣ると、根腐れによる失敗が生じやすくなるため、弊社でも、製造する培養土については根が生き生きと育つように、この点を重要視しております。

 

 

「各用土について」

 

  • A.粘土 、石、砂の仲間

 

 バーミキュライト(中性~アルカリ性)

 

すべてにおいて、高い性能を誇る改良用土。キラキラした金属のような質感。アコーディオン状で、空気も水も肥料も蓄える力が高い。

 ただし、崩れやすいので重たい土や固い土と混ぜるとせっかくの構造がつぶれて効果を発揮できないので、混ぜる際には注意する。

 

「ポイント」

軽いピートモス等と混ぜると相性がいいです。

 

 

パーライト(中性)

 

風で飛ぶほど軽い。通気性や保水性を高めるのに適した改良用土。高温焼成で製造することで発泡しており、隙間が多いので水や空気を蓄える効果がある。

真珠岩(松脂岩)や黒曜石といった原料石の違いによって、性質も変わってくる。

 

「ポイント」

土の軽量化には必須の用土。保肥力は低いので他の用土で補う。

 

 

軽石(弱酸性~中性)

 

群馬県で採掘される、火山由来の軽い石。細かい穴が多く、硬いので、通気性や排水性を高めるのに役立ちます。

 

「ポイント」

水はけや、通気性を高めるときに使います。サボテンや観葉植物、山野草に適しますが、保肥力が無いので、一般的な植物に使う際は他の用土で補う事。

 

 

黒土(弱酸性)

 

関東地方(弊社は栃木産)でとれる、火山灰土壌の一番表層にある土。腐植(有機質が堆積したもの)が豊富なため黒い色をしていて、保肥力と保水力が高いので、菜園等の野菜づくりの土に最適です。

 

「ポイント」

粒子が細かくて、プランターで使う場合には、排水性が悪いので、それを補って使う事。石灰等で酸度調整することで肥料(りん酸)が効きやすくなります。

 

 

 

 

  • B.植物質由来の有機質用土

 

 

 腐葉土(弱酸性)

 

有機質用土の代表格。肥料分はほとんど含んでいないが、土壌改良効果が大きい。広葉樹の落ち葉を堆積させてつくる堆肥の一種で、混ぜることで土をふかふかにして、保肥力も高め肥えた土になる。赤玉土と混ぜることで、幅広い植物に使える土をつくることができる便利な用土。

 

「ポイント」

赤玉土7割(又は6割)に対し腐葉土3割(又は4割)でブレンドすることで基本培養土がつくれる。どんな土がいいのか困ったときにはこのブレンド。

 

 

 ピートモス(酸性)

 

北欧やカナダ等寒冷地で長い年月を掛けて出来た、ミズゴケ等の植物遺体の堆積物。繊維質で水を保つ力が高く、有機質の長所である保肥力も高い性質を持つ。乾きすぎると水をはじいてしまい水が染み込みづらくなる短所もある。

 酸性(pH4.0前後)なので、ツツジ科のブルーベリーにそのまま使えて最適。それ以外の植物に使う際は酸度を調整してから使う。

 

「ポイント」

苦土石灰を混ぜたり、くん炭やバーミキュライトと混ぜることで酸度を中和して使う。

 

 

 ココナッツピート(弱酸性)

 

ココヤシの殻を粉砕してできた、軽量で繊維質豊富な用土。見た目はピートモスに似ている。ココヤシは年に何回も収穫ができるため、再生可能資源として有望な用土である。通気性に優れている。ピートモスと比べて保肥力に劣る。

 

「ポイント」

軽量化を図ったり、堆肥の代替原料として用いることで清潔感のある培養土

がつくれる。

 

 

 くん炭(アルカリ性)

 

稲のもみ殻を蒸し焼きにして作った炭。細かい穴がたくさんあり、通気性をはじめとした土壌改良に適します。この細かい穴には有用微生物が繁殖するという効果もあります。

 

「ポイント」

アルカリ性なので、あまり多くは混ぜられない。酸性のピートモス等に混ぜると酸度調整もできる。

 

 

「単用土の性質一覧」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 単用土として販売されたり、培養土の原料となるその他の用土について説明してまいりましたが、土の個性について理解できましたでしょうか?人間と同じように、土にも長所と短所があります。その個性を理解しながら、様々な原料用土をブレンドすることで、それぞれの長所だけを生かせるように「培養土」を製造しています。さらには、土の個性と植物の個性がマッチするように、適材適所でサボテンの土や洋らんの土のような専用培養土も製造しています。

 理解して使う。これが用土を使いこなすためには重要なのです。

 

                                                                

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4.土を混ぜてみよう!

 土の個性について理解できたならば、次は「混ぜる」ことについて説明をしたいと思います。複数の土を組み合わせることで土の条件を整える方法についてです。

 

 

「ケース1」 排水性の改良

 

 例えば、黒土。畑とか広い面積の場合、黒土は腐植に富んだ生産力の高い土となりますが、畑と違って鉢やプランターで使うとなると、黒土は粒子が細かいので排水性に難が生じます。

 排水性を改良するためには、排水性の良い用土を混ぜる必要があります。ここでは、軽石を混ぜることで改良しようと思います。

  

  

 

 

 

 粒子が細かい黒土。

 このままだと水の通りが悪い。

 軽石を混ぜたことで水の通り

が改善されました。

 

↑ 実際には、黒土と軽石を混合して培養土をつくることは無いのですが、わかりやすい例として黒土と軽石の混合で説明をさせて頂きました。排水性を改良するということをイメージすることができましたでしょうか?

 

 

「ケース2」 軽量の土をつくりたい

 

 例えば、ハンギングとかに使うような軽い土をつくりたいとき。ピートモスは保水性も高く、保肥力も高くてとても軽いのでベース用土として使えます。だけど、ピートモスだけだと、水でどんどん締まってしまうので、通気性を持続させるための用土を加えたいところです。さらには、酸度の問題もあります。

 ここに、バーミキュライトを加えることで、通気性も確保しつつ、軽量土もつくることができます。バーミキュライトも、重い土と混ぜると崩れやすいのですが、ピートモスのように軽い土と混ぜれば、構造を崩さずに済みます。

 

 

 

 バーミキュライトとピートモスを

半分づつ混ぜます。

 1リットル当たり0.19kgの軽い土

ができあがりました。

 

↑ 他にもパーライトやくん炭なども使えます。くん炭などのアルカリ性の用土を加えることで、酸度の調整も可能です。

 

 

「ケース3」 色んな植物に使える、バランスの良い土をつくりたい

 

 バランスの良い土を作るときに重宝するのは、赤玉土です。通気性、排水性、保水性、保肥力のバランスが整っているので、培養土の骨格として優れています。あと少し、保水性を高めることができれば、花にも野菜にも使い易い土になります。

 そんなときには、有機質である腐葉土を混ぜると良いでしょう。赤玉土と腐葉土の組み合わせは昔から、基本培養土として使われてきました。

 

 

 

 赤玉土と腐葉土を半分づつ混ぜる。

 フカフカした触り心地。触っただけでも、

良い土であることがわかります。

 

↑ わかりやすいように半分づつ混ぜてますが、園芸書などでは「赤玉土7割:腐葉土3割」で混ぜると良いと書いてあることが多いです。万能な基本ブレンドとして覚えておきましょう。

 

 赤玉土をベースに培養土をつくると、バランスの整った土が作りやすいです。弊社の培養土が使いやすくて、良く育つ理由のひとつには、赤玉土を中心に培養土のブレンドを考えているということもあります。

 

 

 

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